世には実に多くのダイエット法とされるものがありますが、様々なダイエット法が出て来てはいつの間にか消えていきます。
りんごダイエット、ゆで卵ダイエット、にがりを飲むダイエットなどもありました。
数年前までは糖質制限ダイエットや炭水化物制限ダイエットが巷では有効していましたが、今は廃れつつあるという感じです。
なぜ、糖質制限ダイエットは廃れてしまったのでしょうか?
糖質制限ダイエットがすたれてきた理由
効果よりもデメリットが多いから
糖質制限ダイエットは確かに痩せます。しかし長続きしないためにリバウンドが激しいと言うデメリットが大きいです。
また、長期的に見ると死亡リスクを高める可能性があるという事も分かってきました。
糖質制限ダイエットが始まったのは20年ほど前のことです。第一人者は江部康二先生でしょう。
この先生が死亡した時に、多くの医師が「ああ、やはり」と思ったようです。
糖質制限が体に良くないことを証明したようなものだ、という医師も多かったのです。
今まで糖質制限ダイエットに対しては、糖尿病学会なども「まだだ新しいダイエット法なので長期的なことはよく分かっていない」という、どっちつかずの見解でした。
しかし20年を経て、いろいろな研究結果が分かってきました。
そして、日本糖尿病学会では「糖質制限ダイエットはお勧めできない」という見解を出しています。
そのあとに「さらなる研究が必要」という1行があるために、「どっちなんだよ」「白か黒かはっきり結論を出してくれ」という声があがってはいますが、お勧めはできないのですから、「良くない」という事だと受け止めて良いでしょう。
国立国際医療研究センターの医師が健康な30歳以上の人27万人のデータを5年〜26年もの間追跡した研究では、次のような結果が出ています。
総カロリーに対して炭水化物が占める割合が30~40%の炭水化物が少ないグループと、60~70%の炭水化物を適量食べたグループで比較したところ、総死亡リスクは炭水化物が少ないグループの方が1.31倍高かったのです。
また、アメリカでも1980年または1986年から20年間にわたって研究をしていて、炭水化物が少ない食事は死亡率を1.12倍高めていた、という事がわかっています。
糖質制限はお金がかかる
炭水化物の代わりに肉や野菜をしっかり食べなさい、と言うのが糖質制限ダイエットですが、かなりの収入の人でも「お金がかかって続かなかった」と言います。
お米は2㎏で1000円ほどで買えます。1人暮らしなら2~3週間ほどの量でしょう。
1000円÷14日で1日70円ほどでOKです。
ところがご飯の代わりに肉を食べなさいとなると、牛肉や豚肉はよほど安い肉屋さんでも100g100円未満で手に入れるのは難しいでしょう。
便秘になる
死亡リスクが高まるだけではなく、炭水化物を減らすと便秘になる人が多いです。
特に日本人の場合、ご飯からも食物繊維を摂っています。ご飯を制限して肉に置き換えると、その分の食物繊維は減ってしまうので、便秘になりやすいのです。
また、唾液や膵液の成分はアミラーゼ、腸液の成分はマルターゼやスクラーゼやラクターゼですが、アミラーゼはデンプンからできています。
そしてマルターゼは麦芽糖から、スクラーゼはショ糖から、ラクターゼは乳糖からできているのです。
糖質を制限すると、これらが不足するので腸液や膵液や唾液も少なくなって、腸内からの消化酵素も不足します。その結果、腸内環境が乱れてしまい、便秘や下痢などの便通異常をきたしやすくなります。
まともな医者なら「糖質制限は止めた方がイイよ」と言うかもしれない
糖尿病学会や内科学会では、糖質制限は推奨できないという見解を出しているし、「日経メディカル」という医師などの医療従事者が会員登録をして読むサイトでも、これらの学会の見解を報告しています。
まともな医師や栄養士であれば、患者さんが糖質制限をしていれば、止めるでしょう。
この記事の筆者である私の家の近くにある個人病院の食堂にはかって、「糖質制限メニュー」というものがありました。しかし今は、もう糖質制限メニューは、いつの間にかなくなっていました。
昔からずっと廃れずに行われているダイエット法は?
かれこれ50年以上もずっと行われているダイエット法は、糖尿病の食品交換表を使ったダイエットです。
表1~表6と付録という7つに食品を分けて、表1からは何単位、表2からは何単位と言うように、食べられる単位を決めることでバランスよく食べてダイエットをしよう!というものです。
1単位は80キロカロリーなので、体重に合わせてこの表を見て20単位になるように調整したり、15単位でコントロールするなどで体重を減らしていきます。
すぐには痩せませんが、長く続けることができる点が大きなメリットでしょう。
80キロカロリーの交換表を使ったダイエットは、前述したようにかれこれ50年以上も病院や保健所などの医療機関で行われているダイエット法です。
廃れることなく、今も昔も多くの人がダイエットに成功しています。
糖質は基本的には「悪だ」という意見もありますが、コストや長続きするかどうか、を考えると、昔ながらの根気強いダイエット法が一番良いのかもしれません。
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